地方の土地、田畑、山林は、固定資産どころか負債でしかないと思う。

わが家は、昨年、約1年前義母が亡くなった。


高血圧や狭心症などを患っていたらしいことは
亡くなったのちに分かったが、
生前は一度も入院したこともなく
いたって健康な人であった。


亡くなった時も田んぼへ畔の草刈りに行く途中の路上であった。


まったくの突然の訃報であった。


夫である義父はすでに数年前に亡くなっていたが、
兄弟間の折り合いが悪かったこともあり、
義母は相続で息子たちがもめることを避けたかったのであろう、
金庫に不動産登記の書類が保存されており、
すべての遺産は長男である夫が継いだ。


しかし、つくづく固定「資産」ではないと思う。


固定資産税の通知書が送付されたものの
地番だけではどの土地について課税されているのか不明なため、
市役所で印をつけた地図をもらってきた。


夫は、知らない間に、色々な場所の土地を所有していた。


義母が亡くなった直後にも
「竹を切らせてほしい」と知らない人が訪ねてきたが、
同じように全く把握していない土地があちこちに点在していた。


とりあえず家から遠い地点は無視することにした。
(地図だけ見ても、全く見当がつかないためである)


しかし、自宅周辺だけでも十分驚きに値した。


実家から道を挟んだ向かいに竹林があり、
うっとうしい竹林だなと思っていたが、
その竹林はわが家のものであった。


義母が亡くなった後、実家の敷地に面した道路は時々清掃していたが、
その雑木林の外回りの道路も含めると3倍以上である。

 


今日は、草刈りのために実家に戻ったが、
周辺道路の清掃で疲れてしまった。

 


市街地に住んでいれば、道路の管理は市役所の管轄だと思うであろう。


しかし、住民以外にほとんど通行することのない田舎道では
住民が自ら道路を管理するしかないのである。


この季節、枯葉はあまり落ちていないが、
かわいいらしい小さな薄黄緑色の花はびっしりと落ちている。


放置すれば、やがて、路面にへばりつき、スリップの原因になりかねない。


わが家の所有地の外回りのすぐ隣の道路には、
葉っぱ一枚落ちていない。


おそらく、毎朝、早朝に掃き清めているのであろう。


油断すると、日蔭はすぐに苔が生えてしまうところを
住民が守っているのである。

 


今日は、2時間ほど道路清掃をした。


その間、通行した車は4台。


2台は、おそらく近隣住民。1台は、その知人。
もう一台は、宅配便。


宅配便のお兄ちゃんは「こんにちは」と荷物を運び
「おつかれさまです」と爽やかに去っていった。


彼らのような将来ある人が事故を起こさないよう、
道路を守ることが土地所有者の務めであろう。

 


しかし、と、箒の手を動かしながら考える。
私たちは自らの意志で土地を所有したわけではない。


相続という形で受け継いだ。

大した広さの土地ではない。

しかし、夫婦二人で管理するには、広い。


田も畑も耕作放棄すれば、2、3年で山に還ってしまう。


それ以前に、雑草をはびこらせると山火事の原因になるため、
あまりに雑草が伸びた場合、数人に日当を支払って
田畑を焼き払わなければならない。


田畑は草が生えないよう、トラクターで耕うんし、
田畑の畔は、草刈りをしたり除草剤をまいたりして
どうにか、しのいでいる。

 


都会の人は、田舎に山林を所有しているというと
羨ましく感じるかもしれないが


現実問題として
トラクターの運転にはガソリン代もかかるし
草刈り機本体、、軽油、オイル、
除草剤噴霧器本体、除草剤と、固定資産を維持管理するため
私財のみならず、私的な時間も大幅に費やしているのである。


田舎の田畑の維持管理のため
子供を遊園地に連れていく時間もままならないのである。


正直、固定資産税を支払う意味が分からない。


むしろ、過疎地域のインフラ整備に私財を投じている分
補助金をいただきたいくらいである。


現状は、まだ、ボランティアだと思える範囲であるが
今以上に負担が増えたら、ほんとうにどうしたらよいかわからない。